武富士の債権譲渡---民法債務者対抗要件具備通知と貸金業法通知 [債権譲渡]

武富士の債権譲渡にみる債務者の混乱から読む
債権譲渡通知と貸金業法24条2項通知

民法債務者対抗要件具備のための通知と貸金業法通知。債務者へのふたつの通知義務は、原因を異にするか、同じか。
ふたつの義務を譲渡人と譲受人の両名を送付人として一度に果たそうとしても、目的が異なれば、別々に要件を満たす必要が生じよう。
ふたつの債務者通知を有効にするための要件、効果は同じか否か。(注 武富士 それとも 武富士トラストか --- どちらに支払うべきか
ふたつの異種の通知を一度に済ます場合に、どういう問題が生じるだろうか。

 民法の譲渡通知に関し、債務者対抗要件の目的は、債務者に対抗したい場合にするのであって、債務者対抗要件が具備が目的である。その効果は、債務者からの権利行使の阻止抗弁を阻むに過ぎない。
債務者通知が、当事者間の譲渡(=権利移転)の効力には関係がない。
債務者に対抗したい当事者間の譲渡でなければ、通知が義務付けられているわけではない。実取引で債務者への通知のない譲渡は頻繁にみられる。
それに対して、貸金業法24条2項通知は、譲受人に対する義務規定で、同法通知を欠けば、請求が適法になされることができないことになる。ということは、民法通知があっても、貸金業法適用債権については、通知要件を満たさず、債務者が請求を拒める正当な抗弁理由となるか。
そして、譲受人が貸金登録業者でなくても、義務違反に対して監督機関の処分権限が及ぶと解される。

民法通知

 債権譲渡により、債務者への請求の正当性を主張しようとすれば、請求されるべき債権の存在が確認されなければならない。
したがって、発生原因を示すことは必要であり、金額が確定していたり、金利、延滞金利や弁済期日の定めがあれば、それらも通知されなければ、対抗要件不備となり、対抗される。民468条2項は、譲渡されるまでに生じた事由についての債務者保護規定をおいており、通知到達までに譲渡人との間で生じた取引があれば、抗弁できる。
すなわち、有効な通知のためには、債権の発生原因が必要となり、残高相違、支払い回数相違は、認められない。

 通知が権利行使要件である以上、債務者に対する支払い請求と密接に関係する。
権利の内容を確定しなければ、請求が対抗されるだけだ。
さらには債権特有な抗弁権や相殺などもある。

さて、Xは、m1月d1日現在及び将来において、債務者Yに対して有する債権(の全額)を、m2月d2日、Zに譲渡した、として、m1月d1日がm2月d2日の 50日前としよう。
その間に頻繁に取引がなされ、債権額が増減したり、消滅があるとする。また弁済期や金利が変更されることもある。
この民法上の対抗要件具備が有効といえるか。


貸金業法24条2項通知

 貸金業法24条2項通知のひとつの目的は、無方式の民法通知を補うためだろう。
同法17条書面の意味から、現在の債権の存在の証明であり、債権の確認を目的とし、事実上の請求に関連する行為である。
みなし弁済の抗弁付き債権である以上、残存債権額や支払い回数が相違は許されない。
また通知の交付(到達)日と債権識別基準日にずれがあれば、ローン債権の性格から、その間に取引が(リボ債権であれば頻繁に)行われるのは当然で、和解債権であっても返済がなされるから、50日前データでは、返済前で残高が大きく、支払い義務回数が1~2回多くなるのは、注意をしなくても当然に予見される。

 送付された債権譲渡通知は、和解された返済回数よりも多く、したがって当然返済金額もその分大きいという疑問が多くみられ、質問の問い合わせが大量になされているという。現在の債権額や返済回数と異なれば、架空請求と疑われても、正当な苦情だろう。
一部の司法書士ブログでは、「和解した内容よりも1回分多いという、いいかげんな内容で」「架空請求だと疑われても無理はない」というご指摘がなされている。
 譲渡されたのは条件変更債権ゆえ、一部の債権にはついて代理人が任命されており、和解交渉が終了して残高と返済方法がが確認された債権、あるいは途上にある債権も含まれるかもしれないが、12月14日に譲渡契約が成立した債権について、通知到達が12月24日で、50日以上前の10月末営業日の残高を送付することは、同法の業務目的を逸脱しており、無効である。

10万件もの口座について、残高や返済の相違が記載された通知の大量事務ミスは組織的になされるものである。


通知の必要記載事項

 貸金業法債務者通知により、民法の譲渡通知を兼ねることは許されても、貸金業法通知が請求のベースとなる債権額を絶対的必要記載事項とする以上、通知交付日に近い期日の正確な残高の記載が求められる。
その違法性を判断できる明確な規則がないが、いくら何でも、債務者に無用の混乱だけを招く結果となる通知交付日の一週間以上前の残高が、適法になされたと評価しうるだろうか。


通常の正常な譲渡業務を考えてみよう。

譲受人が譲渡人から、50日以上前のローン情報(残高、返済金額や返済期日の返済方法や満期など)及び債務者情報(氏名、住所、委任がある場合の代理人氏名、住所)しか受領していない場合はどうか。
これで請求業務ができるというのか? トラブルだけを招くことがわかっている情報だけであれば、手間が懸かってしまうことは明らかだ。通常の注意をもっていれば、最新データの作成を求め直すだろうから、業務をする上で、トラブルが起こらないと判断される程度の最新性が通知基準になるのではないか。法もそれ以上の注意まで求めようがない。
 貸金業法は、譲渡後の請求前に通知を要すると解され、24条2項通知が譲渡後、速やかに通知する義務がある。
実際の業務では、14日に譲渡契約が成立し、24日に通知が到達したとすれば、25日から業務を開始することができるよう準備されることになるだろう。14日べースの残高と返済条件を記すとしてもを、24日までに譲渡人との間で生じた取引については、譲受人に生じたと読み替えるという説明記載が必要となるだろう。


和解債権と債権譲渡による抗弁権の切断

 引きなおし計算がなされていない条件変更債権が譲渡されたとき、24条2項通知により、債権額について、裁判上、裁判外にしろ、確認の手続きをしなかった場合に、異議がなかったとして、譲渡後は、みなし弁済無効の主張の抗弁権が切断されるか。すなわち債務承認したと推定されるか。
 貸金業法は実体法ではない。行政取締法規として、24条2項通知は実体上の権利確定をするものではない。民法の譲渡通知では、抗弁権はそのまま移転する。貸金業法通知により、抗弁権放棄特約の成立まで推定されると考えるのは穏やかではない。


金融庁に文書回答制度を利用して問い合わせよう

 貸金業法24条2項通知の譲渡債権の認識基準日は、譲渡契約成立日からどこまでさかのぼってよいかなど上記の問題点に関して、疑問を持たれた債務整理代理人は、金融庁に、文書回答を求める制度を利用されることを勧める。質問も回答も公開されます。

参考ブログ記事
http://bscenter.txt-nifty.com/blog/2009/12/post-7e86.html
http://hanamizk.exblog.jp/11846636/
http://www.shihou.cc/blog/2009/12/25/2009/
http://hideyoshi.2ch.net/test/read.cgi/debt/1261753262/
http://finance.nifty.com/cs/news/market/200912141621/1.htm
http://hideyoshi.2ch.net/test/read.cgi/debt/1261753262/

本ブログ他関連記事
武富士、債権譲渡で司法書士の激怒と混乱(2009/12/31)
武富士 債権譲渡-- 条件緩和債権の譲渡(2009/12/31)


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LesRooday

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by ブランドN級品ブランドコピー 代引 (2020-07-11 14:51) 

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