個人破産者60万人? 年収300万円で、その1/3の負債で同時廃止が認められるとでもいうのか [貸金債権]

貸付の総量規制が施行されたら、個人の破産申立が60万件に (NTTデータ、貸金業界)
債務整理は150万件? 

2年前に調査を怠らなければわかっていたことを、今頃になってから、規制の見直し策のために調査するのだろうか。
立法に先駆けて、実情を調査するべきところ、遅すぎる。
立法提案者、提案検討貸金業懇談会メンバー、立法機関は、法制定するにあたり、所得と借入額のデータを見れば、年収の1/3規制が実施されたら借入れ不能になる債務者数は、どれだけがいるかは、少々調査すればわかったことで、プロの立法者の注意義務からして、知りえなかったとは言い逃れの許せない、当然に知っていたと推定されてしかるべきだろう。
知らないとすれば、現実を認めたくないから事前調査をしなかっただけのこと。
実態調査は、法を推進した自民党もしなかった。
後藤田議員は、金融庁の研究会に出席しても、経済学者も、影響に関する裏づけデータに関して、質問さえしていなかった。  当時の利用者の何割が年収の30%未満、30~40%、~50%、~60%、~70%、70%超といった程度の数字さえ、懇談会では把握していなかった
だから何で今更と感じることになる。

そうした注意義務違反を理由として、60万人の破産者、利用者の2割の150万人の債務整理がでるとしたときの社会経済的混乱を招く責任を問う声はあるのか。

しかし破産60万人の推定。どういう根拠か。
借入れできるだけ借入れ、多重債務で破産しか打つ手のなかった従来の破産基準と比べ、そんな軽い債務レベルで、破産申請して、同時廃止を認められていいのか。
これまでとはまるで変わった債務処理世界になってしまうのか・

家族構成や、生活必要費用によってさまざまだから、単一モデル化はできないが、年収360万円のサラリーマンでだったら、150万円の借金があって、債務の全額カットは認められるか。一部カットで民事再生が選択されるにしろ、管財人が入ることになれば、20万円の費用が負担となる。

60万人の推定は、年収300万円未満で、生活費で終わってしまうケースを意味するのだろうか。
生活費用にもよるが、サラリーマンで、年収の半分程度の債務があるからといって、同時廃止破産が認められないだろうから、わざわざ破産によるのではなく、他の方法を考えることになるだろうか。
いずれにしても、元本を返さないで、借りれるだけ借りて破産するのではなく、借入れできずに、小さな借金額でも破産が起こりえる社会になるのだろう。ステージ4で死刑宣告が、ステージ2での死刑宣告になれば、人数は膨大になる。

NTTデータの弱点は、業者と債務者のアンケート調査にすぎないこと。
業者はローン申請のときに、年収情報を入手するといっても、客の自己申告。
アンケートでは、年収証明を出せる(客観的状況と意思のある)債務者は、35%とのこと。残りはは、出せないか、借りる意味がないという。多くが所得証明をとると、嘘っぱちということか。確かに武富士のデータでは、半分が国保。自己申告では嘘もまかり通る。
居酒屋バイトで、実は年収180万円が、申告250万円はざらにあることなんだろう。これでは年収証明など出しようがない。
だから75%が融資を受け続けられず、返済一方になる。
この調査よりも、実態は更に怖い状況ということだ。

60万人推計の弱点は、個々の業者では、借入れ全額について、利息制限法適用金利での元本引きなおし計算ができないので、引きなおし前の借入れ額を基準にしていることだ。一斉に引き直ししてしまったとき、どれだけが年収1/3を超えるだろうか引きなおし前であれば貸付できないが、引きなおし後であれば、借入れに余裕があるのであれば、「みなし」弁済有効の「みなし」元本で調査するだけでは意味がなく、そうした実態の調査をしなければ、規制施行のインパクトを合理的に予測することはできない。
(そういう点では、調査は容易ではなかったので、立法担当者、起草担当者の注意義務を課すのはいきすぎだとの主張は、そもそもみなし元本ベースですら、調査を怠ったのだから、正当な言い訳にはならないだろう。)
客全体の2/3が超えるのではなく、1/3が超えるとすれば、この推計のベースは意味なく崩れる。破産申立するにしても、裁判所を利用しない債務整理にとどまるにしても、引きなおし後での年収1/3超の客数の推計はどこにもない。

法の起草者は、それを予期できたうえで、サラ金業者撲滅を優先する社会政策であったはず。
貧乏人は借入れしないで、キャベツでも食べていればいいとは、金融庁参事官のコメントという。
政府が個人の借入れを制御する意思が現れた法律。破産による社会的な富の喪失だとすれば、破産するにしても、債務の額は軽いほうがよい。
経済的混乱が大きすぎる、セーフティネットができていないからといって、今さら、年収1/3を超える借入れを一時的に猶予する方針変更とはおもえないが。

NTTデータにこれだけの調査結果を発表させるためには、業界の協力をとりつける強制力が必要だったろう。
現在の業界で未だに元気な大手でAとPには、業界をまとめ、調査を実施し、結果を出させるだけの力があるか
とすれば、プロジェクト・チームを指揮する金融庁の後ろ盾があっての調査と公表ということになる。
なぜ今になって、このデータを公認データとして公表させたのか。


http://www.keieiken.co.jp/aboutus/newsrelease/091224/index.html
http://www.keieiken.co.jp/aboutus/newsrelease/091224/index2.html#02-1
http://www.garbagenews.net/archives/1194892.html
http://www.gamenews.ne.jp/archives/2007/11/60_2.html
http://www.garbagenews.net/archives/1143863.html
http://prw.kyodonews.jp/open/release.do?r=200911206236
http://www.47news.jp/topics/prwire/2009/11/136233.html
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