武富士の債権譲渡の先は、アメリカの投資ファンドと... [債権譲渡]

武富士の条件緩和債権の譲渡(注1)の目的が、第三者からの資金調達で、資金提供者はアメリカの大手ファンドだと、週刊エコノミスト2010/2/2で報じられた。
投資適格未満への格下げで、金融保険会社のAMBACの保険の付いた証券化に早期償還が開始となり、譲渡されている担保債権1100億円ほどから上がる回収金全部が証券の償還原資に使われることになるという。毎月50億円、全体の10%以上の元利回収金が即時償還だけに使われてしまっては、他の営業のため資金繰りが起たなくなってしまう。全額償還モードを回避して、契約をリスケして、月次償還額を営業に重大な支障がでて破産しないよう少なくするために、一時償還金の150億円を求められ、そのための債権譲渡だったとされる。
 
和解債権の債権譲渡が証券化という見方をされた方(注2)も見られるが、そうではないだろう。
武富士トラストに買い取らせたローンに対して、ノンリコースのローンをファンドが出して、買い手会社の実質資本無しで、全部のリスクをとったのだろう。
通常では、信用リスクに応じた2~3割の超過担保を設定し、超過部分の権利は譲渡人が劣後権利として取得し、調達金利と回収金利の利ざやの持分を譲渡者が留保するが、全部の権利を売り切ったとみられる。
 
譲渡された和解債権とは、金利引きなおし後の債権でなければ、譲渡時に引きなおしの抗弁権が付着したままで、残高が確定できず、リスクが確定ができず、損失が不透明になるから、引きなおされた債権だけに限定されたのだろう。そうでなければ、表明保証、財務コビナンツや予定損害金条項を設けたところで 、売主信用がないので信用補填的目的は達せられない。
 
そして、和解債権の全部が原則、金利引きなおし後、36回払いの単純分割支払いの金利無し債権だとし(金利がついた和解債権が含まれないとする)、投資家がとるリスク=年複利利回り20%として割り引くき、投資額を145億円(注1)とすれば、和解債権元本額は194億円と逆算され、およそ簿価の半分、34%の超過担保となる。
投資家の求める利回りが25%であれば、引きなおし後の債権額が208億円あったことになる。
ここで信用リスクの根拠となる和解債権のパフォーマンスの実績値がないから、格付けしようがない。
 
こうして武富士は、いかなる権利も留保せずに、第三者に売り切ったことになる。
しかし、武富士トラストのリスク、すなわち投資家は、別に説明した法律上のリスクをかかえていることになる。 (注3)
 
 
 

総量規制のための所得証明とは [信用情報]

 

総量規制に事務対応のため、貸金業者が年収証明の提出を求めているという。
所得証明とは何か。
給与所得者であれば、年末の源泉徴収証明だろうが、5社借りれがあって、会社に5枚依頼するだろうか。
コピーとなるから、数字を自由に改ざんすることも可能だ。
業者には正確である証明を求めて、雇用主に確認義務などない。

 


金融庁の信用情報「過払い金請求」共有禁止の影響 [信用情報]

金融庁の信用情報「過払い金請求」共有禁止の影響
 
 news コメント: 過払い利息返還請求の信用情報から削除 に関連して
 
 
契約見直し情報を共有してはならないとは、具体的にはどこまで適用でしょうか。
 
1. 既に完済されていて、過払い金請求だけするとき。
2. 現在残高があるが、引きなおしたら、過払い金が出る場合。
3. 現在残高があるが、引きなおしても、残高が残る場合。
 
1は議論がないところで、完済している以上、債権は消滅しているので、契約見直しフラグを立てようがない。
2が今回の指針の対象となると見られる。
3は、引きなおして残高が残る場合の大半が債務整理(金利と支払額、満期の調整)に関係するので、債務整理と認識されるので、弁護士の間では関心事ではなかった。
しかしながら、引きなおし計算による残高への修正を求めるだけの(裁判外)の請求で、債務整理を伴わなければ、これまでの支払いのみなし弁済無効の主張にすぎず、2と同様に契約見直しではないと考えることができる。
 
もし3も適用となれば、一斉に請求されるリスクが高まり、状況は一変する。
当初の 1年間に、30%の資産が引きなおし計算で消えるかもしれないほどの影響がありえるだろう。
これでは、すべての業者が、債務超過になる。
 
さらに、6月以降、収入x1/3貸付上限規制が施行されるゆえ、7割が追加借入れ不能に陥るとされる。
そこで、返済できず、引きなおし計算して、残高を減少させる大きな動機は働くだろう。

過払い利息返還請求の信用情報から削除 [信用情報]

過払い利息返還請求の信用情報から削除は違法な監督機関の権限行使か

金融庁の信用情報に関する一般的理解には、信用業務の常識的理解を欠いている。
過払い金履歴情報共有を実質的に禁じる理由として、「信用情報とは支払い能力に関する情報であり、返還請求の有無は信用情報にはあたらない」と述べている。
信用情報ということばを使えば、一般的に以下の情報が含まれる。
債務者の一般的な情報として、住所、性別、年齢、配偶者の有無、扶養家族・子供有無、勤務先、勤務年数、住居形態、住居年数、社保・国保の保険の種別など。
借入れに関する情報として、負債総額、借入社数、取引履歴年数、与信枠の未利用額、過去半年、1年、2年間それぞれの短期延滞頻度、30日以上の延滞頻度。
住所が信用情報ではないだろうという異論があるかもしれないが、住居形態が賃貸の場合には、家族構成の人数と共に賃料相場の点で関連する。
これらの情報は、クレジット・スコアリングの開発において、通常考慮される情報であり、信用判断に不要な情報とはみなされない。どのクレジット・スコアリングの一般的なテキスト、開発モデルの説明書、与信判断の情報を参考にされれば、容易にわかる。

ここで年齢、勤務年数、住居年数、取引履歴年数などの期間に関連する要因があるが、どれも期間の長さが信用判断に有利に働く。年齢が高ければ、勤務年数が長くなり、居住年数も長くなり、取引履歴も長くなるので、相関の高いファクターが与信判断に組み込まれることになるので、加重の調整が必要になる。

規制監督機関には、民間金融機関が何が与信判断の因子となるかを決定することに介入する権限があるのか。
公序に反しない限り、本人の同意があれば、何を使って与信判断しようが、何が返済能力に関係するかを決定するかは、貸し手の認められた自由ではないのか。

ここで注意が必要な点は、加盟員間の任意の自主的な非営利の信用情報の交換であり、その加盟員間での流通に国の介入が許されるとしたら、公共の政策上、あるいは法的根拠が必要になるだろう。

2点めとして、信用情報の交換について、個人情報保護法の適用を受ける、債務者個人から利用に関して事前の了解を得ていなければ、不正あるいは違法な利用となる。加盟員間での信用情報機関において、ローン申請において包括承諾を得ているから、違法性がない。
本人が利用を認めているのを、国家機関が法的根拠なく、閉鎖された任意団体の利用について禁ずることが許されるか。

過払い金履歴は、借入れ債務に関する情報になる。
過払い金請求が、みなし弁済無効の主張と過払い金の返還事実が「契約見直し」にはあたらない(金利について、利息制限法超過支払いは無効なので、契約を見直してはいない)と主張するのであれば、信用情報機関に対し、誤情報として、修正請求を認められる。
この主張を集団的に認め、その情報の利用を禁じる判断ということになるのか。
それでは、「過払い金請求事実」「みなし弁済無効の主張者」という用語法ではどうか。
「みなし弁済無効の主張者」という事実を否定はできないから、情報交換は許されるのか。

信用情報機関ではなく、仮に5社が(債務者の利用の承諾をとって)任意に過払い金履歴情報を交換をする場合、それを禁じ、処罰する法的根拠があるのだろうか。


NEWS: 過払い利息返還請求:信用情報から削除、金融庁方針 業者「リスク判断に支障」

 金融庁は14日、貸金業者が貸し出しの判断基準として使用している信用情報から、借り手が「過払い利息」を返還請求した履歴を削除させる方針を明らかにした。返還請求の履歴がある借り手は履歴の削除で新規融資は受けやすくなりそうだ。
 貸金業者系の「日本信用情報機構(JICC)」の場合、過払い利息返還請求の情報を119万4000人分登録(09年9月末現在)。貸金業者が新規融資の際、判断材料に使っている。消費者団体や弁護士からは「請求履歴が残っていると新規融資が受けにくくなる」と削除を求める声が強まっていた。
 貸金業界からは「過払い利息返還請求の履歴がある人は返済できないリスクが高い。削除すると正確な与信判断ができない」と反発しているが、金融庁は「信用情報とは支払い能力に関する情報であり、返還請求の有無は信用情報にはあたらない」として、JICCに履歴の登録、提供の停止をさせることを決めた。
 金融庁は今年6月に全面施行される改正貸金業法で、貸金業者に対し、金融庁が新たに指定する「指定信用情報機関」に、借り手の債務状況などの登録を義務づけるが、過払い利息の返還請求の履歴は登録させない方針だ。JICCも、信用情報機関としての指定を申請している。ただ、履歴の削除で過払い利息返還請求が急増する可能性があるため、貸金業者からは「経営が圧迫される」との声が上がっている。【井出晋平】
http://mainichi.jp/select/wadai/news/20100115ddm041040177000c.html



コメント概要と金融庁の考え方
http://www.fsa.go.jp/news/20/kinyu/20090617-3/01.pdf
Ⅰ.指定信用情報機関の指定・監督に当たっての評価項目
Ⅰ-3 業務規程関係

5 収集・提供する信用情報には、完済後に過払い金の返還請求を行った旨の情報は含まれないということを明確にすべきである。また、返済能力に問題がなく約定返済中であったとしても、過払い金返還請求をしたことについては、同様に、信用情報に含まれないことを明記すべきである。

6 過払い金は貸金業者が自主的に返還すべきものであるから、信用情報機関に載せる情報ではない。

7 過払い請求の事実や債務者が過払請求に応じたことなどを独自の信用情報として収集・提供しないこと。

8  株式会社日本信用情報機構のホームページに、「「与信を補足するための情報※3」項目に契約見直し※債務者から過払金返還の請求があり、会員がそれに応じたもの」とあるが、法定利息内での引きなおしで、最高裁でも判例の出ている行動に対しては、通常の完済と同様の対応をすべきではないか。

9 現在、信用情報機関の中には、過払い請求について、「契約見直し」などといった情報として収集・提供している実態がある。このような情報提供を禁止すると明記すべきと考える。「資金需要者等に対しても、客観的かつ合理的に説明できるものでなければならない」という観点からいくと、過払い請求については、客観的にいって返済能力とは無関係であり、いかなる名目をもってしても、情報収集提供すべきものではないと考える。

10 過払い金返還請求及び過払いになっている債務者の債務整理開始は、事故扱いしないこと。

11 指定信用情報機関が保持してはいけない情報として、「過払金の返還を受けたことが分かる事実」を規定すべき。

12 過払金返還請求をした事実が、信用情報として登録されないようにしていただきたい。過払金請求の事実がブラック情報として扱われ、借入れができなくなることを恐れ、正当な権利行使である過払金の請求を断念する借主がいる。

13 現行の「契約見直し」登録は廃止し、すでにある登録は削除していただきたい。

 ********
本事務ガイドラインⅠ-3-2-3(1)において、指定信用情報機関が収集・提供する情報について、「信用情報として取り扱うことについて、資金需要者等に対しても客観的かつ合理的に説明可能なものでなければならない」と規定しております。
過払い金返還に係る情報を信用情報として取り扱うことについて、資金需要者等に対しても客観的かつ合理的に説明可能であるか、まずは、指定申請を予定する信用情報機関において、十分検討して頂く必要があると考えます。
なお、現在、過払い金返還に係る情報を登録している信用情報機関では、完済後になされた過払い金の返還については登録していないと承知しています。

-------------
14 指定信用情報機関が収集・提供する信用情報については、業務規程において限定列挙するものとし、その定義、情報提供時期、登録期間などを具体的・一義的なものとするとともに、信用情報と直接関係のない情報を指定信用情報機関が収集することを禁止するべきではないか。
 
 ***
指定信用情報機関が信用情報提供等業務において、収集・提供する情報の範囲については、本事務ガイドラインⅠ-3-2-3(1)に規定しております。
また、指定信用情報機関が信用情報提供等業務において収集・提供する情報は、業務規程に定められ、金融庁長官の認可を受ける必要があり、指定信用情報機関が業務規程を変更する場合においても、金融庁長官の認可が必要となります。

-------------
15 個人信用情報に誤りがあった場合に、本人から信用情報機関に対し、容易かつ迅速な訂正や削除の手続きを保証すること。また、信用情報機関が本人から異議申立てを受けた場合には、信用情報機関に対して迅速で誠実な対応を義務付けること。
 
***
本事務ガイドラインⅠ-3-4(3)において、個人情報保護法第26条の規定に基づく訂正等を適正
かつ確実に行うための態勢整備について規定しています。

--------------------------
16 資金需要者等が債務整理を弁護士又は司法書士に依頼したとの内容の事故情報も、Ⅰ-3-2-3(1)①②に含まれると考えられるが、その後、利息制限法の制限利率を超えて金銭消費貸借取引を行っていたために過払いが生じていたことが判明した場合には、本人或は代理人の申出により削除できるようにすべき。

17 一度約定で残債の支払を一時停止して、「元本又は利息の支払の遅延の有無」の情報が登録されたとしても、利息制限法制限利率に基づく引きなおし計算によれば過払いとなる場合には、債務者本人又は代理人の申請により、同情報が抹消可能であることが含まれる旨の規定を設けるべき。

18 債務整理開始後に過払い金が発生していることが判明した場合、「弁護士介入」「延滞」登録から、単純に「完済」に登録変更すべき。

19 「延滞」後の過払金の請求では、延滞登録から、「完済」登録に変更する扱いとしていただきたい。

20 過払い金返還請求を理由に債務者が支払をしていない場合や契約上の抗弁を主張した結果、支払が停止されているものなどについては、「延滞」とは明確に区別した情報として収集・提供することとし、「延滞」に含まれない旨も規定すること。例えば、利息制限法によると債務不存在が明らかな場合は、単に「完済」とし、抗弁主張がある場合「抗弁」などとして別の信用情報として収集・提供すること。
  
***
ご指摘は、運用の詳細に関するものであり、今後の監督において、貴重なご意見として参考にさせて頂きます。

総量規制後の債務者と貸金業者の行動パターン [貸金債権]


総量規制に事務対応のため、信販会社は09年の後半頃から、利息制限法金利以内で営業する消費者金融会社は11月頃から、所得証明の提供をもとめているようですが。
入手できたのは、3割だとか。
出したら借入れ総額で1/3以下にされるのですから、誰とて不利益を被るだけの証明を出す理由はないでしょう。法律が提出を義務付けているわけではない。

7割が収入証明を出さない。この数字は、NTTデータ調査の7割に貸付ができない状況(本ブログ他の記事)になると同じ位だ。


全体借入れが収入の1/3を超えていたら、どのような処理になるのだろうか。
A=30万, B=110万, C=90万の3社からの230万円の借入れがある年収360万円の債務者としよう。
借入れ総額が120万円に減少するまで、誰も貸すことができない禁止客となるから、リボ、利用枠は停止される。

Bは、11万円を早急に回収して元本を100万円以下にして、金利を18%請求する行動に出るだろう。
Cは、利息さえ返してもらえば、年収がわかっているからといって、残高を50万円以下に減少させる義務はないので、信用が安定していれば、元本回収に熱心でなくなるだろう。元本を回収してしまったら、利益を生む資産が減るだけで、追加して貸し出すことが禁止口座であるから。 
Aも同様で、年収1/3にするには、全体で80万円の減額が必要だが、自分から減らすことはないだろう。減らしても、貸せなくなり、客を失う結果になるだけ。

そうすると、客も追加して借入れができないことを知っていれば、元本を返さない。
したがって、この客は、Bの10万円だけを返して、あとは、月220万x18%÷12=3.3万円を払い続けるのが最善の選択になる。


総量規制 ---国の定めた返済能力ある信用力という尺度 [貸金債権]

国が法律で定めた信用ある返済能力基準とは、どういう基準か


 一体、支払い可能で健全な債務額について、年収1/3の総量規制は、どこに計算根拠があるのだろうか。
起草のための貸金業懇談会の資料や立法での検討事項には、合理性基準が示されていない。
誰が提案し、誰が賛成し、反対があったかもわからない。

A=30万, B=70万, C=90万の3社からの190万円の借入れがある年収360万円の債務者としよう。
借入れ総額が120万円に減少するまで、誰も貸すことができない禁止客となるから、リボ、利用枠は停止される。

3年をめどに完済されなければならないとしよう。
月の支払いは、元本190万円x2.8%=53200円を払えば、36ヶ月目には既存のローン残高はゼロになる。
月収30万円に対して18%、手取り26万円では20%が借金返済に充てられることになる。

これが120万円に減ったらどうなるか。3年完済予定払いを変えないとすれば、月2.8%は変わらず、33600円へと返済額が減少するだけとなる。
月収30万円に対して11%、手取り26万円では13%が借金返済に充てられることになる。

すなわち、政府と議会は、収入の13%以上の返済は、信用問題があると決定した。
返済不能となる合理的根拠は、議員、金融庁起草担当者、懇談会の慶応大学の経済学者2名のメンバーに聞いて見たいところだ。


無論これ以外に 、住宅ローンや自動車ローンなどが担保付借金がある場合があるだろう。その場合には、確かに信用に影響が出るだろう。
アメリカでは、住宅ローン返済が困難になって差し押さえが迫る債務者に対して、返済を支払い可能額にまで減額して支払い猶予を与える政府の計画 HAMP(Home Affordable Mortgage Program) が進められており、昨年終りに、65万人が利用したという。
その返済きる額への支払額調整基準は、収入の31%とされている。
基準というのは、負債総額ではなく、収入に対してどれだけの負担があるかを測る尺度を使うのが、合理的基準というものだが、学者と議員と金融庁は、どういう理由を考えたのだろうか。

     元本残高     利払い     月支払額
経過月数          1.50%      2.80%
0    1,900,000             53,200
1    1,846,800    28,500    24,700
2    1,793,600    27,702    25,498
3    1,740,400    26,904    26,296
4    1,687,200    26,106    27,094
5    1,634,000    25,308    27,892
6    1,580,800    24,510    28,690
7    1,527,600    23,712    29,488
8    1,474,400    22,914    30,286
9    1,421,200    22,116    31,084
10    1,368,000    21,318    31,882
11    1,314,800    20,520    32,680
12    1,261,600    19,722    33,478
13    1,208,400    18,924    34,276
14    1,155,200    18,126    35,074
15    1,102,000    17,328    35,872
16    1,048,800    16,530    36,670
17     995,600    15,732    37,468
18     942,400    14,934    38,266
19     889,200    14,136    39,064
20     836,000    13,338    39,862
21     782,800    12,540    40,660
22     729,600    11,742    41,458
23     676,400    10,944    42,256
24     623,200    10,146    43,054
25     570,000    9,348    43,852
26     516,800    8,550    44,650
27     463,600    7,752    45,448
28     410,400    6,954    46,246
29     357,200    6,156    47,044
30     304,000    5,358    47,842
31     250,800    4,560    48,640
32     197,600    3,762    49,438
33     144,400    2,964    50,236
34      91,200    2,166    51,034
35      38,000    1,368    51,832
36          0      570    52,630



      元本残高    利払い     月支払額
経過月数          1.50%    2.80%
0    1,200,000             33,600
1    1,166,400    18,000    15,600
2    1,132,800    17,496    16,104
3    1,099,200    16,992    16,608
4    1,065,600    16,488    17,112
5    1,032,000    15,984    17,616
6     998,400    15,480    18,120
7     964,800    14,976    18,624
8     931,200    14,472    19,128
9     897,600    13,968    19,632
10     864,000    13,464    20,136
11     830,400    12,960    20,640
12     796,800    12,456    21,144
13     763,200    11,952    21,648
14     729,600    11,448    22,152
15     696,000    10,944    22,656
16     662,400    10,440    23,160
17     628,800    9,936    23,664
18     595,200    9,432    24,168
19     561,600    8,928    24,672
20     528,000    8,424    25,176
21     494,400    7,920    25,680
22     460,800    7,416    26,184
23     427,200    6,912    26,688
24     393,600    6,408    27,192
25     360,000    5,904    27,696
26     326,400    5,400    28,200
27     292,800    4,896    28,704
28     259,200    4,392    29,208
29     225,600    3,888    29,712
30     192,000    3,384    30,216
31     158,400    2,880    30,720
32     124,800    2,376    31,224
33      91,200    1,872    31,728
34      57,600    1,368    32,232
35      24,000    864    32,736
36          0    360    33,240


金利引下げ、総量規制でどうなる貸金業者収益予想 [貸金業者]

  2010年6月以降、損益分岐をどれだけ長く超えられるか

2.GIF



年収1/3超過の借入れと既に飽和して縮小を始めていた貸金市場 [貸金債権]

年収の1/3超過負債を負う債務者の債務弁済デフォルト率に関連して


2005年には飽和していた貸金市場

1990年代に消費者金融といえば、信用調査することなく、本人確認ができて在職証明さえできれば、即刻30分で、50万円の与信枠上限の範囲で貸し付けられるのがビジネスモデルだった。その結果、大久保権八が語るように、7~8社から借り入れをつまむのはふつうに見られた光景だった。それが2000年前後頃から、プロミス、アコム、アイフル、三洋信販らは、100万円超過の貸付モデルに変容していき、方針変更はたちまちデータに現れ、2000年代初めには、貸付の1/3以上が100万円以上の貸付にシフトしていった。

背景は、2000年6月の40%から29%への金利の引き下げにあったとみられる。ローンあたりの収益性が減る。営業収益ベースで1/4以上の減少で、経常利益ベースで考えれば、大手業者を除けば、1/10以下になったとみられる。中堅業者の多くが統廃合されるか、破産を選択した。大手であっても、利益は半減から1/3になった。

収益源を補う経営戦略として、口座数を増やすか、それともローン単価を大きくするかのいずれかの戦略になる。口座数は1400万件。90年代になって上場が認められ、資金を得た大手業者は、その頃に導入した無人契約機を、2000年には、全国津々浦々まで、張り巡らすことができた。消費者金融への新規口座は、飽和していた。

出店するさい、獲物が何匹獲られるか、各社人口動態調査を怠らない。人口30~40万の地方都市に、大手、中堅が有人店を出す。利用者と予備軍あわせて4~5万が最大のところに、大手で20億円、中堅で10億円の融資量を有する。大手で顧客数目標は完済口座を入れて1万件。中堅はその半分。互いに客を奪い合うが、利用者の半数が4~8件を使って重なり合う。もうどこにも新規客がいない。20歳以上となる人口は、供給自体が少子化で少なくなっていく。

2000年には、そんな地方都市では、もはや常習客すら見つけられない状況となっていた。降雨量上限は、2000年に40mmから29mmに規制されてしまった。砂漠では日に数匹しか出会えないウサギを探し求めるライオンと狼がうろうろする。獲物を見つけたら、太らせて食らうのが効率的だ。獲物の数が取れなければ、単価を上げるほか利益性を上げる方法はない。新たな確保できる獲物の数が限られただけではない。

こうして大手業者は、50万円を100万円に、そして200万円に上げていった。ブロイラーの鶏は、大きくするにも危険を伴い、限度がある。200万円以上の領域には、利息制限法適用で営業するオリックス・クレジットなど異種の獲物を狙う、別の獣が住んでおり、店舗がなくても業務ができる、ネット時代になっていた。

大手3社と他は、100~200万円の間の領域に出て行った。武富士だけは、100万円上限を選択した。しかしなぜかローン単価は、武富士が65万円で、貸付の1/3以上が100万円を超える他は55万円だった。武富士では多くが90万円以上に張り付いた。大手と中堅。アイフルは当初、単価で出遅れたが、5万円の差が、収益の差になるから追随し、同じほどの貸付単価となる。店舗の規模の違いは、一人当たりの単価の差となって現れる。

2001年以降、口座と口座あたりの収益性を維持できない数多くの業者が倒産か統廃合され、しだいに数を減らしていく。ライフ、アエル、クレディア... 合併、統合では、ディック、そして三洋信販までもが。

鳥取砂丘の向こう側の米子や松江、長崎や佐世保、佐賀に、どれだけの潜在客がいるというのか。潜在客がいなければ、業者は自然と引けていく。
いくらなんでも、同じリスクファクターであれば、信用評価上、年収の30%までしか貸せず、1年以内の貸倒リスクが高くなるような客に、年収の5割を無理して貸すことはない。
http://forconsumers.blog.so-net.ne.jp/2010-01-02「年収の1/3超過負債を負う債務者の債務弁済デフォルト率って、どういう意味があるか」) 
獲得した獲物数だけで限られ、新規が生まれてこない以上、200万円まで貸せる既存客には貸し込み、市場は飽和し、出口がなかった。

2005年には、完全に飽和しており、自然縮小に向かっていた業界に、2006年以降、司法が止めをさし続けた。

年収の1/3超過の負債を負う債務者のデフォルト率って、どういう意味があるか。 [貸金債権]

年収の1/3超過負債を負う債務者の債務弁済デフォルト率と、貸付方針に関する立法関係者らの誤解

この質問は、「貸金業制度に関するプロジェクトチーム」第一回事務局会議(平成21年11月30日)で司法書士が、尋ねた質問である。
http://www.fsa.go.jp/policy/kashikin/gaiyou/20091130.html

借入れする個人は、最初からすぐに年収の1/3を借りるわけでもなく、借りられるわけでもない。
負債総額が年収の1/3に達したときを起点として、収益とリスク(初期延滞客、常習的頻繁繰り返し延滞客、長期延滞客、貸倒客)のパフォーマンスを計測してみたら、1/3以下の客のパフォーマンスと比べて、悪いだろうという質問の意味だろう。返済ができなくなる確率が上がるのは当然のことだろう。所与の条件がおなじであればの話だが。

しかしリスクを決定する因子は、負債の大きさ、年収比率だけではない。住居形態(費用負担がいるかどうか。必要な場合の家賃)、それを決定する家族構成(親と同居か、別居か、既婚か、子供がいるか、何人いるか。)、収入の大きさ(比率が同じでも300万円と600万円の所得では支払い余力は違う)などによって、影響される。職種、職歴年数も与信審査には影響を与える。
業者は与信審査で、年収の6割までも融資枠を認めることがあるだろう。しかし住居費用がいらず、子がいない場合と、中学生2人に賃貸住まいでは、支払能力は全く違う。年収400万円、小学生と園児の二人の賃貸住宅の既婚者に、借入れ総額で160万円まで貸していても、200万円を超えて貸すかどうか。しかし子がおらず、家賃が懸からなければ、貸すだろう。

リスク要因の違う債務者には異なる与信対策がとられる。リスクがあれば、融資するか否か、融資しても融資額の絞り方、出金停止をどうとるか。だから、年収の1/3を超える債務者といっても、他の要因から同じリスクではないのだから、デフォルト率が悪いだろうと推測することはできない。年収1/3超えのリスクは、他の要因を満たせばカバーされるし、業者の専門性は、それを管理する技術にある。

業者にとって年収1/3が最重要の決定要因ではない。それを政府が国が、他の要因を無視して、最重要要因にしてしまったにすぎない。
確かに同じ債務者が同じ経済状況で、年収30%の借入れが、経済的条件を変えず、40%を越えたらデフォルト・リスクが増大することは明らかである。しかしそういう単純な話ではない。
 デフォルトの決定的因子とはなにか。

そうしたデフォルト率を抑えられる管理・制御可能な因子に比べ、人的能力では予測不能な因子がある。失業、離婚、家族の病気。ただある程度は、過去の履歴から、転職回数や職歴からリスクの大きさは判断がつく。職種では、失職のない公務員か否かは、大きな決定因子ともいわれる。デフォルト率は、年収1/3以下かどうかの要因よりも、むしろイベント期日の到来の予測がつかない失職や病気などのライフイベントの方が、大きな要因であり、年収1/3以下と超過の債務者が同じ経済信用因子でないので、違う種のひとを比べるのは、スコアリング分析データをださせないと意味がないだろう。

貸してから1年以内に倒れることがわかるような貸せない客には、貸せない。こうして年収1/3を超えても、個別与信要因からは、すぐには倒れることはない客が選ばれ、より慎重に与信枠を設定され、モニターされることになる。その結果、年収1/3以内の客とさほど悪くないパフォーマンスとなる。

 行政監督機関を含め、与信業務を専業としない者の誤解と錯覚はあるだろう。立法するにあたり、業者が十分な説明ができなければ、公序は、誤解と錯覚と幻想のもとで、策定されることになる。

年収の1/3を超える借り手の借入れ不能に陥るのが7割の嘘 [貸金債権]

通常、業務のなかで負債の年収比率を計算するに使われる負債の額は、利息制限法適用金利での元本引きなおし計算前の「みなし」弁済有効としたときの「みなし」元本残高。
いったん過払い金がでても、それを打ち消すほどに、年収の半分以上にまで借金を借り増して、額の膨れ上がった債務者ほど、引き直ししてしまえば、残高は減額される。年収1/3まで借入れ余裕額が生まれる。

引きなおし請求して元本を調整しただけで、金利や元本支払いに関してはそのままで契約変更をしない場合に、契約見直しと扱われるかどうか。
それは別にして、総量規制施行後は、貸し付けできる顧客が限られるから、返済できる能力があれば、貸す業者は現れることだろう。
債務予備軍はこうして、いったん残高を減少させて、年収1/3に到達するまで借りつづけられる。
急増が予定される引きなおし計算。弁護士や司法書士を入れないで、交渉ができないか。

NTTデータから2割が借入れ不能というのであれば、元本額引きなおしの債務整理の予備軍は150~200万人に達するのか。


http://www.keieiken.co.jp/aboutus/newsrelease/091224/index.html
http://www.keieiken.co.jp/aboutus/newsrelease/091224/index2.html#02-1
http://www.garbagenews.net/archives/1194892.html

個人破産者予備軍急増たって-- 的外れな認識不足の亀井大臣答弁 [貸金債権]

亀井内閣府特命担当大臣閣議後記者会見での大臣の発言から
(平成21年12月25日(金)11:04~11:33 場所:金融庁大臣室)
http://www.fsa.go.jp/common/conference/minister/2009b/20091225-2.html


質問に対する意味を理解していないのか、大臣の回答がなんとも、的をはずしている。

記者質問  「....個人も自己破産が増えるのではないか」という話もありますけれども、この問題は、来年の前半で非常に問題になると思うのですが、大臣のお考えとしては、現状でどのようなご認識でお考えになっているのでしょうか。」

回答 「そこの経営がおかしくなったら、三井住友にしても三菱にしても、そういう資金供給しているところがまず面倒を見てあげると。」

すると質問がそれて、「 もう既に、今の状況のまま過払いが続くと、メガバンクもそれを投げ出してしまうというような…。」

回答 「というよりも、自分たちがそれを使って荒稼ぎしておいて、一般の融資ではあまり利幅がとれないから、そういうところにやらせて、稼ぐときは稼いでおいて、要らなくなったら捨ててしまうという、「自分の会社だから自分が自由にするのは勝手だ」ということかもしれないけれども、何度も言っているように、日本の金融機関というのは、いろいろな意味で社会的責任というものをしっかりと考えなければ駄目ですよね。だから、そういう消費者金融との関係でも、そうした社会的責任というのを、やはりそういう覚悟がないのに手を出してはいけませんよ、逆に言うと。覚悟がないといけませんよ。ある意味ではリスクが高いのですから。」

最初の破産予備軍急増に関しては、意識だにされていない大臣認識ということが明らかにされたインタビュー。

「貸金業制度に関するプロジェクトチーム」第一回事務局会議  [貸金債権]

何で今になって、貸金業制度の見直しなのか?
見直しの必要があるかどうかの検討だって?

それにしても、第一回会議では、それぞれが言いたいことしか、発言していないような目的の見えない不毛な会議だこと。
そこに出てきたNTTデータのアンケート調査の結果報告。
http://forconsumers.blog.so-net.ne.jp/2009-12-31-3 「個人破産者60万人? ..」
どう使われるのか。これが実態だとして、方向付けにされるのか。


http://www.fsa.go.jp/policy/kashikin/gaiyou/20091130.html

総量規制導入後の将来の破産モデル像 [貸金債権]

<「貸金業制度に関するプロジェクトチーム」第一回事務局会議での日本司法書士会連合会の説明から>
破産者の平均収入は、月15万円以下が84%を占め、低所得層での破産が多いことを示している。また、破産者の多くは賃貸住宅居住者となっており、収入が少ない中、家賃などの支払いが大きな負担となっていると推測される。
破産者の平均借入件数は約10社であり、10社までの借入で破産するケースが約73%となっている。また、破産者の平均負債額は約684万円となっている。この値は住宅ローンを含む額であり、実際には400万円以下の負債で破産に至る人が62%と過半数以上を占めている。

司法書士の示す破産者モデル像と、NTTデータの予想する60万件の破産像にはずれがある。
司法書士の月収15万円程度で、借入れ件数10件に対して、NTTデータの示す今後の債務者は、年収1/3超過の破産予備軍。
これから起こる破産劇は、全く様相が違うのだろう。
  
http://www.fsa.go.jp/policy/kashikin/gaiyou/20091130.html

破産の基準点と総量規制--亀井内閣府特命担当大臣閣議後記者会見 [貸金債権]

急増が予定される個人破産に関して政府の主張する銀行責任: 
亀井内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要
(平成21年12月25日(金)11:04~11:33 場所:金融庁大臣室)

政府は、今後の総量規制の影響で60万件の個人破産申立が予期されることについて、銀行に責任を取らせるという。
具体的にはどういう意味なのか?

アイフルに銀行責任をかぶせられないように、プロミス、アコムに、法的な手段で銀行責任を問うことは困難だろう。どういう責任法理が許されるというのか。住専の親会社責任と同じ法理というが、貸金業者の単なる株主である場合と、完全に指揮権を行使していた住専とは違うだろう。最近では、それら貸金業者に役員を派遣していることは確かだが。

唯一ありえる責任追及の具体的意味が、破産申立防止であるとしたら...
破産申立て予備軍である年収1/3を超える多重債務者に、親銀行が年収1/3になるまで返済資金を貸し付けるという方法とありえる。銀行貸付は総量貸付対象外である。
すなわち、起こりえる現象として、債務整理することなく、銀行貸付により、消費者金融債権が返済される。
その場合には、その分、金利引きなおしによる元本の減額が増え、その後に債務整理するときには、残高の目減りが大きくなる。

たとえば、年収350万円で、借入総額250万円の場合、借り入れ総額が117万円になるまで返済する義務が生じるが、133万円を銀行が融資し、返済されることになる。
返済の方法によって、全部にそれぞれ元本返済を進めるのではなく、一社だけに残高を残せば、(後に債務整理となれば、)その返済で相当な額の過払い金も発生しうることになる。

親銀行の三菱銀行と住友銀行は、プロミスとアコムの客しか対応する義務がない。
しかし客は、複数の消費者金融から借り受ける。
2社の貸金の客が銀行から返済資金を借入れるとき、客が生存の期待されて、借入が続けられるプロミスとアコムに返済するのではなく、借入れ額の維持が期待できないで返済だけになるだろう武富士とアイフルに対して、返済を多くすることもかんがえられる。
それとも武富士とアイフルが危機になり、過払い金の回収が難しいと考えれば、アコム、プロミスに返済を増やすか。

債務者の行動が大きな影響を及ぼすことになるだろう。

しかし、年収の1/3規制を引いて、借入れ不能を理由に破産原因が発生するとしたら、その数値が破産原因のメルクマールになる。これまでは、借金が許されたことから、この程度のステージの借金額で、同時廃止破産が認められることはなかっただろう。
借入れできず支払い不能になるのだから、テスト基準点がかわる。事実上、破産事実の認定方法に影響を与える結果になる。

アメリカの2005年個人消費者破産法は、再生計画について、収入に対する支払額を計算根拠にするが、借金の金額とは、誰が無責任に考えた理屈だろうか。しかしそれが破産事件を左右する基準になっていく。

http://www.fsa.go.jp/common/conference/minister/2009b/20091225-2.html

個人破産者60万人? 年収300万円で、その1/3の負債で同時廃止が認められるとでもいうのか [貸金債権]

貸付の総量規制が施行されたら、個人の破産申立が60万件に (NTTデータ、貸金業界)
債務整理は150万件? 

2年前に調査を怠らなければわかっていたことを、今頃になってから、規制の見直し策のために調査するのだろうか。
立法に先駆けて、実情を調査するべきところ、遅すぎる。
立法提案者、提案検討貸金業懇談会メンバー、立法機関は、法制定するにあたり、所得と借入額のデータを見れば、年収の1/3規制が実施されたら借入れ不能になる債務者数は、どれだけがいるかは、少々調査すればわかったことで、プロの立法者の注意義務からして、知りえなかったとは言い逃れの許せない、当然に知っていたと推定されてしかるべきだろう。
知らないとすれば、現実を認めたくないから事前調査をしなかっただけのこと。
実態調査は、法を推進した自民党もしなかった。
後藤田議員は、金融庁の研究会に出席しても、経済学者も、影響に関する裏づけデータに関して、質問さえしていなかった。  当時の利用者の何割が年収の30%未満、30~40%、~50%、~60%、~70%、70%超といった程度の数字さえ、懇談会では把握していなかった
だから何で今更と感じることになる。

そうした注意義務違反を理由として、60万人の破産者、利用者の2割の150万人の債務整理がでるとしたときの社会経済的混乱を招く責任を問う声はあるのか。

しかし破産60万人の推定。どういう根拠か。
借入れできるだけ借入れ、多重債務で破産しか打つ手のなかった従来の破産基準と比べ、そんな軽い債務レベルで、破産申請して、同時廃止を認められていいのか。
これまでとはまるで変わった債務処理世界になってしまうのか・

家族構成や、生活必要費用によってさまざまだから、単一モデル化はできないが、年収360万円のサラリーマンでだったら、150万円の借金があって、債務の全額カットは認められるか。一部カットで民事再生が選択されるにしろ、管財人が入ることになれば、20万円の費用が負担となる。

60万人の推定は、年収300万円未満で、生活費で終わってしまうケースを意味するのだろうか。
生活費用にもよるが、サラリーマンで、年収の半分程度の債務があるからといって、同時廃止破産が認められないだろうから、わざわざ破産によるのではなく、他の方法を考えることになるだろうか。
いずれにしても、元本を返さないで、借りれるだけ借りて破産するのではなく、借入れできずに、小さな借金額でも破産が起こりえる社会になるのだろう。ステージ4で死刑宣告が、ステージ2での死刑宣告になれば、人数は膨大になる。

NTTデータの弱点は、業者と債務者のアンケート調査にすぎないこと。
業者はローン申請のときに、年収情報を入手するといっても、客の自己申告。
アンケートでは、年収証明を出せる(客観的状況と意思のある)債務者は、35%とのこと。残りはは、出せないか、借りる意味がないという。多くが所得証明をとると、嘘っぱちということか。確かに武富士のデータでは、半分が国保。自己申告では嘘もまかり通る。
居酒屋バイトで、実は年収180万円が、申告250万円はざらにあることなんだろう。これでは年収証明など出しようがない。
だから75%が融資を受け続けられず、返済一方になる。
この調査よりも、実態は更に怖い状況ということだ。

60万人推計の弱点は、個々の業者では、借入れ全額について、利息制限法適用金利での元本引きなおし計算ができないので、引きなおし前の借入れ額を基準にしていることだ。一斉に引き直ししてしまったとき、どれだけが年収1/3を超えるだろうか引きなおし前であれば貸付できないが、引きなおし後であれば、借入れに余裕があるのであれば、「みなし」弁済有効の「みなし」元本で調査するだけでは意味がなく、そうした実態の調査をしなければ、規制施行のインパクトを合理的に予測することはできない。
(そういう点では、調査は容易ではなかったので、立法担当者、起草担当者の注意義務を課すのはいきすぎだとの主張は、そもそもみなし元本ベースですら、調査を怠ったのだから、正当な言い訳にはならないだろう。)
客全体の2/3が超えるのではなく、1/3が超えるとすれば、この推計のベースは意味なく崩れる。破産申立するにしても、裁判所を利用しない債務整理にとどまるにしても、引きなおし後での年収1/3超の客数の推計はどこにもない。

法の起草者は、それを予期できたうえで、サラ金業者撲滅を優先する社会政策であったはず。
貧乏人は借入れしないで、キャベツでも食べていればいいとは、金融庁参事官のコメントという。
政府が個人の借入れを制御する意思が現れた法律。破産による社会的な富の喪失だとすれば、破産するにしても、債務の額は軽いほうがよい。
経済的混乱が大きすぎる、セーフティネットができていないからといって、今さら、年収1/3を超える借入れを一時的に猶予する方針変更とはおもえないが。

NTTデータにこれだけの調査結果を発表させるためには、業界の協力をとりつける強制力が必要だったろう。
現在の業界で未だに元気な大手でAとPには、業界をまとめ、調査を実施し、結果を出させるだけの力があるか
とすれば、プロジェクト・チームを指揮する金融庁の後ろ盾があっての調査と公表ということになる。
なぜ今になって、このデータを公認データとして公表させたのか。


http://www.keieiken.co.jp/aboutus/newsrelease/091224/index.html
http://www.keieiken.co.jp/aboutus/newsrelease/091224/index2.html#02-1
http://www.garbagenews.net/archives/1194892.html
http://www.gamenews.ne.jp/archives/2007/11/60_2.html
http://www.garbagenews.net/archives/1143863.html
http://prw.kyodonews.jp/open/release.do?r=200911206236
http://www.47news.jp/topics/prwire/2009/11/136233.html

債権者の破産申立、最高裁まで? [貸金業者]

事実を争う場合、訴える側の証明責任の重さを痛感します。

SFコーポレーションの第2回目の債権者の破産申立が3月24日で、7月2日に地裁棄却されて、即時抗告され、12月21日に、東京高裁の抗告審が棄却。特別抗告あるいは許可抗告されるとのこと。
債権者申立で、最高裁ですか。

地裁、高裁ともに、破産原因の事実がないと認められたということになります。
破産原因を大きく分ければ、支払不能と債務超過。
支払不能原因は、申立て債権額を払える金額の預金を見せれば、破産原因無し。
債務超過は、BS、会計士見解をつけて、債務超過でないことを被申立者が証明すれば、情報を持っていない側で、それを覆す事実を証明することは容易ではないでしょう。

破産事実を争わないとしたら、最高裁の憲法違反の理由は何?
それにしても、過払い金を払いきれるだけの資力のある投資家って誰でしょうか。
やはり開示されないことには、誰だって納得できないでしょう。

どうしても破産させたい弁護団、どうしても破産を食い止めたい会社の思惑。
興味深い。
SFCGで役員に賠償責任(査定)を負わせ、かつ代表取締役を破産申立、決定されたが、同じことをしたら、その前に、SFCGのように資産は散逸してしまっていたら、管財人、債権者団はどうするつもりだろうか。
韓国資産があるというが、株式譲渡された時点で、SFコーポレーションとはなんら関係がないから、追求できるのか。
そもそも、ネオラインが関係するというが、誰が株主なのかさえみえない。

12月21日、SFコーポレーションに、アディーレ法律事務所の扱う490件の債権に対して、第三回の破産申立てがアディーレによりなされたとのこと。これまで1回目、2回目で、同事務所の扱う過払い金債権は、払われていなかったのだろうか。

債権者といっても、相手は消費者でしょう。個別の執行不能が予想される場合に、こうした集団的包括執行による救済方法しか期待できないということでしょうけれど。
消費者団体訴権の必要があるでしょう。

http://www.shihou.cc/blog/2009/12/23/2006/
http://ameblo.jp/mezaki/entry-10417711007.html
http://blogs.yahoo.co.jp/yuuki_go_2005/archive/2009/12/23
http://www.shomin-law.com/shakkinsanwafinance.html

http://prw.kyodonews.jp/open/release.do?r=200912186802

SFCG譲渡債権--BSに認識される貸金は、元本残高総額か購入価額か [貸金業者]

日本振興銀行のBSを眺めてみよう。
09年3月、930億円のSFCG買取債権があるという。p.11/11
貸付総額は、3134億円、 引当金34億円
二重譲渡に関する中間報告(第8回)(12/1報告)によれば、譲渡を受けた貸出債権数は18,132 件。
単純に一件あたりのローン単価を計算すれば、513万円。
これは倒産前のSFCGの平均的な単価600万円ほどと変わらない。
倒産前の08年末、5500億円の貸付資産を有していた。
証券化負債2400億円に対して、3200億円の貸付債権が信託譲渡されており、またシンジケーションローンのための担保として、1000億円の債権に譲渡担保設定されていたとみられる。
担保設定総額は、4200億円となっていた。1300億円には担保が付着していないことになるが、信託からの買戻しなどで、貸し倒れ処理されていない債権が証券化担保の一割の300億円あるとすれば、稼動資産は1000億円なかっただろうか。

さて、ここまでが事実の説明。疑問は、ここから。

振興銀行は、930億円買ったという。
購入価額は、いくらだっただろうか。
その後の半年で、300億円くらい債権が消滅したともいわれていたが、金利引きなおし計算請求やら過払い金請求を受けて、SFCGに戻し譲渡したと見られるのが3割あるとすれば、その金額は、貸し倒れか引当金を積まなければならないが、9月決算で、つまれていない。
元本価額で購入したとすれば、損失処理されることになるが、資産と収益から、処理できる金額を超える。半額であれば、SFCG破産手続きで取り戻し不能となる損失は発生していない。
2008年の貸金市場では、過払い金債権の発生しない引きなおし前の債権では、元本の半額~3割ほどで売買されることが多かったとみられる。もし半額で買っていたとし、BSの数字が購入価額を表しているとしたら、元本ベースでは1860億円の債権となる。これだけの金額は、多重譲渡でない限り、そもそも存在していなかった計算となる。

こうした不良債権になった債権をどのように評価して、認識したのだろうか。
数字上は、元本のままだが、そんな価額で買ったとも考えようがない。
なぜ購入価額で認識しなかったのか、不明。
しかも、二重譲渡に関する中間報告(第8回)では、9640件(53%)が譲渡登記をした第三者対抗要件を具備した多重譲渡だという。
引当金をどう積むのか。

http://www.shinkobank.co.jp/ir/pdf/report090605.pdf
http://www.shinkobank.co.jp/whatsnew/img/press091201_2.pdf

SFCG破産届出債権、3兆円って何。 [貸金業者]



振興銀行だけで1兆円らしい。
信託譲渡された証券化は、全額が出されているようで、かつ不法行為債権も含むようす。
重複譲渡があるので、3000億円の負債総額の数倍になっても不思議はないが。

同じ債務者でひとつの貸付契約から生じる債権だけど、追加貸付のたびに、たとえば5件の追加の(リボ)貸付があるとき、それぞれの貸付が違う先に譲渡されていることが通常であるという。
だから重複譲渡全部が債権届出されて、3兆円?
信託銀行は、振興銀行と争って、まったく回収金が入っていないというし。

10月の債権者会議から2月末までの間に、債権を整理すると予定されているけれど。

回収がなければ、破産手続きは、ある財産だけで分配して、終わりにすほかないでしょう。
38億円の現金のうち、どれだけが破産管財人費用(報酬)となるでしょうか。業務費用もいるから、戻る金はありますか。

債権譲渡と債務者対抗要件具備の実務上の矛盾 [債権譲渡]

 
 債務者対抗要件は、権利行使要件にすぎないか。
    ~武富士の債権譲渡取引をめぐり

 I. 事実

1.  武富士は、保有する消費者金融ローンで、条件緩和ローンを武富士トラスト合同会社に2009年12月14日に譲渡する、と12月11日の取締役会決議した。

2. 譲渡の対象となる債務者は、12月24日頃、封書にて、譲渡人、譲受人の連名の譲渡通知を受領した。

3. 債権額、弁済回数は、和解した内容と相違があった。


II. 推定される状況と事実2

4. 金額や支払い回数の認識時点について記載がないので、受領者は当然に、現時点のものと理解した。

5. 譲渡人に問い合わせたところ、10月末の債権額、返済条件であることが分かった。
  (それ以降に返済など取引が起こりえるし、再度の和解もありえ、債権は消滅の可能性もあるので、金額や返済回数が相違する結果となる。)


III. 民法467条1項の債権譲渡の債務者対抗要件

6. 通知は、無方式でよいので、口頭通知でよいことになる。
  とすれば、5の確認行為により、正しい債権内容の通知がなされたことになる。


IV. 対抗要件の構造と性質

7. 民法467条2項の第三者対抗要件の通知は、債権者間の優先関係、権利の移転、債権の帰属を確定するための権利関係に関する通知で、債務者の債権譲渡の第三者であるが、条文上、「債務者以外」の第三者を拘束する。1項通知に加え、確定日付けを求める。

8. 民法467条1項債務者対抗要件の通知は、譲受人の債務者に対する債権の行使を目的にする権利行使要件で、権利移転の効力、債権の帰属、その権利関係には無関係である。
  権利行使のためには、その時点での債権の確認が必要になるが、正当な請求行為のための要件という位置づけとされる。

9. 民法467条2項が実体上の権利関係を定めるに対して、民法467条1項通知は権利に関係せず、債務者が権利行使を阻止するための防御的な手続き要件に過ぎない。手続き要件を満たせば、権利行使を阻めない。


V. 金額、債権内容相違の場合の対応

9. 民法467条1項通知に、権利行使にあたり、金額相違、支払条件相違の記載が含まれていたら、債権の確認はできない。この場合、債務者対抗要件が具備されたとはいえず、異議を申し立てるなどして、権利行使が阻まれる。

10. 民法上は、電話での確認行為5により、要件を満たしたといえるが、貸金業債権では貸金業法24条2項通知が義務付けられるので、通知文全部について、文書による補正の確認行為が必要となる。記載内容が正しいと確認されるまで、支払いが阻まれる。

11. 通知は民法では譲渡人、貸金業法では譲受人に対して求められるので、譲渡行為があった時点での正確な債権内容の提示が両者に要求される。

12.  通知様式が規定される貸金業債権では特に、譲渡期日あるいは467条1項通知到着期日から、遡った期日の債権認識による通知は、467条1項通知が権利行使要件と理論構成されるのであれば、無効となる。それ以外の債権も厳格に解せば、民法要件を満たしていない。

13. 債務者が自ら認識している通知時点での債権内容を相手に積極的に知らせて、債務者対抗要件具備の「承諾」とみなされる行為をする義務はない。


VI. 譲渡期日と通知到着期日と、その間の取引と通知の内容

14. 譲渡契約成立日と通知到着期日が異なる場合の民法467条1項通知の債権の確認のための必要記載事項をどうするか。譲渡契約成立日時点での債権内容だと明記すれば、要件を満たすと考えられる。しかしながら債務者は、支払うにあたり、その後の取引を反映した現在の状態を示す義務を求めるだろうから、要件不備といえ、口頭により補正されたことになる。

15. 貸金業法では、みなし弁済の有効・無効が争点になりうるので、この場合、不完全通知ゆえ、貸金業法24条2項通知の要件を満たさない。


VII. 金額、支払い条件相違は、虚偽譲渡と推認される恐れ

16. 連名のよる譲渡通知といっても、譲渡人の実印が求められるわけではないので、譲受人が連名にて通知文を作成し通知すれば足りる。金額、支払い条件相違や計算期日が30日も前であれば、その情報を取得した債権者の誰かが、成りすまし譲渡、虚偽譲渡をしたのではないかと債務者には疑念が生じ、不安になる。実際に、譲渡者の信用不安な状況では、そうした事件は起こりうる。

17. この点でも、債務者は、権利行使時点での債権内容の確認ができていなければ、支払いを拒絶し、権利行使を阻止する正当な権利が認められる。

 

VIII.   債権譲渡の法構造に矛盾か 
 
18. 民法467条2項の要件は、1項通知に確定日を加えたにすぎない。(債権譲渡特例法による登記を除き)
   したがって、1項通知が不備であれば、2項通知の完全な有効性を認めてよいか。債務者から権利行使が阻まれるだけゆえ、誰が権利者かを確定する実体には関係がないから、単に抗弁権が付着した債権であるとして、2項通知を有効なものと認めることはできる。
 
19. 債権譲渡特例法による登記と4条2項の扱い
 債権譲渡特例法4条2項は、登記事項証明書の交付を受け、債務者対抗要件通知と共に送付すれば、債務者対抗要件を具備できると定める。このとき、登記事項の内容は、債権譲渡をした時点及びそれ以降のある日の時点の状況で、譲渡通知が送付到着した時点のものではない。譲渡からその数ヵ月後に通知された場合、債権内容は確認不能となるが、債権譲渡特例法は、権利行使の時点での債権内容が確認できようができまいが、譲渡時の債権で一致していれば不都合なく、債務者に不利益なく確認できたことになり、債務者には権利行使の阻止の抗弁を剥奪するという構成をとっており、同法に基づき、裁判上異議を受け付けられない。
 
20. しかしながら、民法上、1項通知が権利行使要件と位置づけら、それに基づき抗弁すれば、権利行使は阻まれうる。
 
21. 結果、債権譲渡特例法4条2項の債務者対抗要件の定めは、譲渡日以降に取引が発生しない債権にのみ適用となり、それ以外の債権については、適用とならないと考えられる。
 
22. この問題は、将来債権譲渡の債務者対抗要件で重大になる。将来債権の第三者間の対抗が金額不明で確定しうると構成しても、権利行使をしようとすれば、債務者の債権確認の抗弁を主張されうるから、登記事項証明では不備となる。
 
 
IX. 2重譲渡における第三者対抗と債務者対抗の衝突
 
23.設例
  Xは1月15日に、Y1, 2, 3, 4, 5....1000に対する貸付債権をAに譲渡し、速やかに債権譲渡特例法にしたがい、登記した。
  Aは、Xに譲渡誤もYに対する回収業務委託して、Yに譲渡通知をだすようにXに依頼せず、通知留保していた。
  Bは、同年6月15日、既にAに譲渡し登記されたYに対する同一の貸付債権を、Xから譲渡を受けた。
  Bは、譲渡後、速やかに債務者に対して通知し、直接回収を開始し、債務者は支払いに応じていた。Bはその後、債権譲渡登記した。
  Aは、XからのYからの回収金の送金がないことから、Y債権がBにも譲渡されたことを知り、7月15日、登記事項証明書それとも6月14日付の再建内容を記載した通知を債務者に送付した。
  債務者Yのなかには、債権譲渡の登記事項証明書から権利者がAであることを知り、Bに対して支払いを拒絶した者やBからの説明で準占有者のBへの有効な弁済を信じて。支払いを続けた者がいた。
  また別の債務者Yは、Aに対して債権内容の不一致で、支払いを拒絶した。
 
  YのBへの返済は、有効な返済であるか。
  Aは、債務者以外の第三者対抗要件具備を根拠に、正当に請求できるとしたとき、金額、弁済額、金利、支払い回数などどのように確認したらよいか。 
  Aの請求が金額不整合で支払い拒絶され、BがYからの回収を継続し続ける場合には、権利者であるAはBの不当な回収行為に対して、不当利得返還請求を求める他、解決策はないか。

武富士 債権譲渡と回収事務委託と譲受人の注意義務 [債権譲渡]

債権譲渡と回収事務委託と譲受人の注意義務

武富士の債権譲渡では、譲受人から振込み口座の変更通知が来ている。
譲受人は資本関係がない合同会社とあるにすぎない。
債権が譲渡され、譲受人が振込み口座変更を債務者に依頼し、同時に譲受人が譲渡人に回収業務委託をはかり、債務者が継続して譲渡人のATMからの返済できるとする。
どういう事態だろうか。

回収業務委託を受ける譲渡人は、譲渡口座の全部の返済をモニターできなければ、 2重請求になりかねない。
すなわち、譲受人への振込み状況もモニターできることを意味するから、振込口座の管理は、譲渡人によってなされるほかなくなる。
譲渡人が、譲受人に払い込まれた銀行振込を確認しようがないとすれば、譲渡した口座については、残高計算ができなくなってしまう。
他方、譲受人は、自分では、業務委託人の助けなくして、残高計算もできなくなる。

 回収事務の全部が譲渡人に委託される場合には、譲受人は自分で回収行為をしないため、正確な残高を知る業務上の動機がない。
こうして譲渡通知の残高計算基準日が、通知の50日前だろうと譲受人は支障を感じない。
その結果、50日前のローン情報、債務者情報が使われ、貸金業法24条2項通知が混乱を招く原因をつくる。
 
 回収事務を譲渡人に委託しないケースでは(別の第三者に委託する場合はありえる)、譲受人(の役員)は、受領したローン、債務者、口座情報に関して、請求事務ができる程度に正確である点いついて注意義務を負うが、そうしないと業務できないから、正確性を調査するはずである。しかし、譲渡人に回収事務の業務委託をはかる場合には、そうした調査義務も動機も起こらない。


譲受人の債権調査の注意義務

 この問題は、このような文脈のなかで、貸金業法は譲受人に、どの程度の注意義務を求めるかという問題に発展する。
すなわち、正確性がデータの計算基準日のずれによる以外に、残高や支払い情報が「でたらめな」という意味で間違えだらけであるとか、虚偽報告が含まれるかどうかに関して、譲受人は、譲渡人の債権データの正確性に関する表明保証について、どれだけ調査義務を負うか。
一件一件、取引履歴を調査して、残高確認するチェック作業を要するか。
存在しない債権を請求できないから、調査義務は当然であり、その作業を怠れば、架空債権の架空請求の紛争を招いてしまう。
調査は、譲渡人のコンピューターですれば容易なことゆえ、その確認作業業務は譲渡人に委ね、結果報告を読めばよいとすれば、全件について、履歴データからの調査義務があると考える。取得したデータ(計算集計を含めて)と譲渡人のデータベースのデータについての確認・照合も要すると考える。
営業譲渡において、通常業務であれば、そうした作業が、譲渡人の表明保証条項に依拠して、不要になるとは考える余地はない。

 証券化という譲渡では、2%を無作為抽出してサンプリング調査しかしていない。実際に営業譲渡を受けるとすれば、それでは業務トラブルを避けられるわけではなく、全権確認が当然である。

武富士 それとも 武富士トラストか --- どちらに支払うべきか [債権譲渡]

受領証明を出す武富士か武富士トラストか--どちらに支払うべきか

I. 武富士の回収事務の問題


1. 債務者対抗要件を具備した場合の貸金債権の譲渡で、回収事務受託できる権利能力は、サービサー法の指定で、認可を受けたサービサーに限定されませんか?

2.  それとも認可サービサーでなければならない対象債権の範囲は、貸金債権というだけではなく、紛争債権でしょうか?

3. 和解ずみの債権は、認可サービサー目的では紛争解決債権ではないですか?

4. もし認可のない違法サービサーによる違法な回収事務委託とされたときの結果は、債務者の弁済にはなんら影響がないでしょうか?

 

II. 武富士トラストの書面交付義務

5. 貸金業法242項は、厳格に読めば、取引のつど、毎回17条書面と18条書面の交付を求めていませんか。譲渡時に一度だけ、17条書面交付は、要件を満たすのか。

6. 上記5を満たさない場合に、債務者の支払いには何の影響もないですか。

7. 武富士が武富士トラストに変わって代行回収するというが、その後の譲渡後のトラストの242項書面交付も、事務委託を受けて業務するとすれば、武富士トラストの名で、代行として通知することになりますか。

8.  そういう7の方法によらず、武富士の従前どおりの18条通知が交付されても、債務者には不利益がないですか。

 

 III. 債務整理後の債権は、貸金業法適用を受けないとする法実務慣行

9. 債務整理され、和解した債権では、支払い前、支払い後の17条及び18条書面の交付を、弁護士・司法書士は求めていない。業者のみなし弁済の有効性の主張・立証にかかる要件だろうとの考えとみられる。金利のつかない和解債権に関係しないと考えるのだろう。業者には、交付義務がないと解されるか。

 

IV. 武富士に払い続けていたら、いったい誰に払っているのか。

9. 送金先口座を譲受人に変更せず、武富士に払っている場合、集金代行としての武富士に対する弁済なのか、それとも譲渡人に対して払っているのでしょういか。

この疑問は、武富士が回収金受領後でトラストに送金前に破産申請したとき、その金銭について、債務者は2重弁済リスクを負いませんか。

10. 譲渡通知の残高相違、支払い回数相違を理由に、民4682項により譲受人及び集金代行者に抗弁し、支払拒絶している間、他方、債務者には支払い義務があるから、譲受人の請求が正当でなければ、譲渡人に払うことになるのでしょうか。

11 上9の場合の間に、武富士が倒産申請したら、債務者は2重弁済のリスクを負いますか。

12.  サービサー法上、違法なサービサーと評価を受けて処罰あれれたとしても、武富士に対する弁済は、債務者の立場では、善意無過失であり、支払いは準占有者に対する弁済で有効だと主張できますか。

 

V. 法律助言者の責任

13.  法律助言者は、上記の一般的な法律問題について専門家としての注意を怠らず検討をしたうえで、助言しなければならないのは然りと考えます。そうした注意を怠った結果、誤った判断により、有効な弁済の否定、2重弁済リスクが生じたとき、注意義務違反の責めは負いませんか。

14. 注意義務は、現実に損害が発生したときに、上記の状況を判断したかどうかの立証になるでしょうか。

武富士の債権譲渡---民法債務者対抗要件具備通知と貸金業法通知 [債権譲渡]

武富士の債権譲渡にみる債務者の混乱から読む
債権譲渡通知と貸金業法24条2項通知

民法債務者対抗要件具備のための通知と貸金業法通知。債務者へのふたつの通知義務は、原因を異にするか、同じか。
ふたつの義務を譲渡人と譲受人の両名を送付人として一度に果たそうとしても、目的が異なれば、別々に要件を満たす必要が生じよう。
ふたつの債務者通知を有効にするための要件、効果は同じか否か。(注 武富士 それとも 武富士トラストか --- どちらに支払うべきか
ふたつの異種の通知を一度に済ます場合に、どういう問題が生じるだろうか。

 民法の譲渡通知に関し、債務者対抗要件の目的は、債務者に対抗したい場合にするのであって、債務者対抗要件が具備が目的である。その効果は、債務者からの権利行使の阻止抗弁を阻むに過ぎない。
債務者通知が、当事者間の譲渡(=権利移転)の効力には関係がない。
債務者に対抗したい当事者間の譲渡でなければ、通知が義務付けられているわけではない。実取引で債務者への通知のない譲渡は頻繁にみられる。
それに対して、貸金業法24条2項通知は、譲受人に対する義務規定で、同法通知を欠けば、請求が適法になされることができないことになる。ということは、民法通知があっても、貸金業法適用債権については、通知要件を満たさず、債務者が請求を拒める正当な抗弁理由となるか。
そして、譲受人が貸金登録業者でなくても、義務違反に対して監督機関の処分権限が及ぶと解される。

民法通知

 債権譲渡により、債務者への請求の正当性を主張しようとすれば、請求されるべき債権の存在が確認されなければならない。
したがって、発生原因を示すことは必要であり、金額が確定していたり、金利、延滞金利や弁済期日の定めがあれば、それらも通知されなければ、対抗要件不備となり、対抗される。民468条2項は、譲渡されるまでに生じた事由についての債務者保護規定をおいており、通知到達までに譲渡人との間で生じた取引があれば、抗弁できる。
すなわち、有効な通知のためには、債権の発生原因が必要となり、残高相違、支払い回数相違は、認められない。

 通知が権利行使要件である以上、債務者に対する支払い請求と密接に関係する。
権利の内容を確定しなければ、請求が対抗されるだけだ。
さらには債権特有な抗弁権や相殺などもある。

さて、Xは、m1月d1日現在及び将来において、債務者Yに対して有する債権(の全額)を、m2月d2日、Zに譲渡した、として、m1月d1日がm2月d2日の 50日前としよう。
その間に頻繁に取引がなされ、債権額が増減したり、消滅があるとする。また弁済期や金利が変更されることもある。
この民法上の対抗要件具備が有効といえるか。


貸金業法24条2項通知

 貸金業法24条2項通知のひとつの目的は、無方式の民法通知を補うためだろう。
同法17条書面の意味から、現在の債権の存在の証明であり、債権の確認を目的とし、事実上の請求に関連する行為である。
みなし弁済の抗弁付き債権である以上、残存債権額や支払い回数が相違は許されない。
また通知の交付(到達)日と債権識別基準日にずれがあれば、ローン債権の性格から、その間に取引が(リボ債権であれば頻繁に)行われるのは当然で、和解債権であっても返済がなされるから、50日前データでは、返済前で残高が大きく、支払い義務回数が1~2回多くなるのは、注意をしなくても当然に予見される。

 送付された債権譲渡通知は、和解された返済回数よりも多く、したがって当然返済金額もその分大きいという疑問が多くみられ、質問の問い合わせが大量になされているという。現在の債権額や返済回数と異なれば、架空請求と疑われても、正当な苦情だろう。
一部の司法書士ブログでは、「和解した内容よりも1回分多いという、いいかげんな内容で」「架空請求だと疑われても無理はない」というご指摘がなされている。
 譲渡されたのは条件変更債権ゆえ、一部の債権にはついて代理人が任命されており、和解交渉が終了して残高と返済方法がが確認された債権、あるいは途上にある債権も含まれるかもしれないが、12月14日に譲渡契約が成立した債権について、通知到達が12月24日で、50日以上前の10月末営業日の残高を送付することは、同法の業務目的を逸脱しており、無効である。

10万件もの口座について、残高や返済の相違が記載された通知の大量事務ミスは組織的になされるものである。


通知の必要記載事項

 貸金業法債務者通知により、民法の譲渡通知を兼ねることは許されても、貸金業法通知が請求のベースとなる債権額を絶対的必要記載事項とする以上、通知交付日に近い期日の正確な残高の記載が求められる。
その違法性を判断できる明確な規則がないが、いくら何でも、債務者に無用の混乱だけを招く結果となる通知交付日の一週間以上前の残高が、適法になされたと評価しうるだろうか。


通常の正常な譲渡業務を考えてみよう。

譲受人が譲渡人から、50日以上前のローン情報(残高、返済金額や返済期日の返済方法や満期など)及び債務者情報(氏名、住所、委任がある場合の代理人氏名、住所)しか受領していない場合はどうか。
これで請求業務ができるというのか? トラブルだけを招くことがわかっている情報だけであれば、手間が懸かってしまうことは明らかだ。通常の注意をもっていれば、最新データの作成を求め直すだろうから、業務をする上で、トラブルが起こらないと判断される程度の最新性が通知基準になるのではないか。法もそれ以上の注意まで求めようがない。
 貸金業法は、譲渡後の請求前に通知を要すると解され、24条2項通知が譲渡後、速やかに通知する義務がある。
実際の業務では、14日に譲渡契約が成立し、24日に通知が到達したとすれば、25日から業務を開始することができるよう準備されることになるだろう。14日べースの残高と返済条件を記すとしてもを、24日までに譲渡人との間で生じた取引については、譲受人に生じたと読み替えるという説明記載が必要となるだろう。


和解債権と債権譲渡による抗弁権の切断

 引きなおし計算がなされていない条件変更債権が譲渡されたとき、24条2項通知により、債権額について、裁判上、裁判外にしろ、確認の手続きをしなかった場合に、異議がなかったとして、譲渡後は、みなし弁済無効の主張の抗弁権が切断されるか。すなわち債務承認したと推定されるか。
 貸金業法は実体法ではない。行政取締法規として、24条2項通知は実体上の権利確定をするものではない。民法の譲渡通知では、抗弁権はそのまま移転する。貸金業法通知により、抗弁権放棄特約の成立まで推定されると考えるのは穏やかではない。


金融庁に文書回答制度を利用して問い合わせよう

 貸金業法24条2項通知の譲渡債権の認識基準日は、譲渡契約成立日からどこまでさかのぼってよいかなど上記の問題点に関して、疑問を持たれた債務整理代理人は、金融庁に、文書回答を求める制度を利用されることを勧める。質問も回答も公開されます。

参考ブログ記事
http://bscenter.txt-nifty.com/blog/2009/12/post-7e86.html
http://hanamizk.exblog.jp/11846636/
http://www.shihou.cc/blog/2009/12/25/2009/
http://hideyoshi.2ch.net/test/read.cgi/debt/1261753262/
http://finance.nifty.com/cs/news/market/200912141621/1.htm
http://hideyoshi.2ch.net/test/read.cgi/debt/1261753262/

本ブログ他関連記事
武富士、債権譲渡で司法書士の激怒と混乱(2009/12/31)
武富士 債権譲渡-- 条件緩和債権の譲渡(2009/12/31)


武富士、債権譲渡で司法書士の激怒と混乱 [債権譲渡]

武富士の条件変更債権の譲渡が債務者の間で混乱を招いているようだ。
譲渡の簿価が381億円ゆえ、一件50万円弱だとすれば、8万件ほどの多数に及び、確かに影響は多大だ。

混乱の憤りの原因は、債権の譲渡日と債権を認識するためのカット基準日が2ヶ月近く異なることにある。
譲渡日とは、当事者間の譲渡契約の成立日と考えられる。
実際に通知を受領した交付日の残高と債権認識のためのカット基準日の間で、支払いがあったり、その間に和解が成立していたら、通知文の残高と通知の交付当日残高では異なる。また残りの支払い回数も、その間に1~2回、支払われているため、通知文には、1~2回、多い回数と多い残高が記載される。
貸金債権は、日々、毎時間、毎秒、いつ借入れされ、返済があるかわからない。絶えず変動する残高。いつの時点での残高をとろうが、交付時点での譲渡額を通知することは、不能である。だから残高計算日の期日を決める必要があるが、認識日に過ぎない。

債権譲渡というものの様式を知らない債務者や司法書士のなかには、瑕疵がある通知、あるいはあちこちに誤りがある通知と考え、なかには架空の譲渡通知だとか、混乱を招いておられ、武富士に抗議をしたり、監督官庁への苦情に発展しているようだ。
和解交渉のための代理人の受任がなされている場合には、本人に通知されて迷惑を受けているという。

以下抗議文の司法書士サイトURL
http://bscenter.txt-nifty.com/blog/2009/12/post-7e86.html
http://hanamizk.exblog.jp/11846636/
http://www.shihou.cc/blog/2009/12/25/2009/


譲渡は、
譲渡日  平成21.12.14
譲渡債権額  平成21.10.30現在
債権管理回収事務受任者 武富士
和解年月日  
和解総額  xxx
和解残金 xxx

譲渡債権の認識するための債権カット基準日は10月末営業日のため、債務整理途上の債権が含まれており、譲渡の金額について、債務者の間で混乱を招いているようだ。

武富士 債権譲渡-- 条件緩和債権の譲渡 [債権譲渡]

武富士の条件緩和債権の譲渡に不明な点が多い。
取引の動機付け、からくりがわからない。

買い手は資本・人的関係のないLLC:武富士トラスト合同会社
①債権簿価:381億円(貸倒引当金148億円=簿価の39%)=233億円(簿価の61%)
②譲渡価額:145億円(他に譲渡者返還予約付き内部積立金25億円)
      (=簿価の38%, 引当金調整後62%)
③譲渡損失:88億円(=233-145)

以下の点が不明。
1. ①の381億円の条件緩和債権とは、金利引きなおし計算前の残高か?
2.①の148億円は、引きなおし後の減額されて残った債権額なのか?
 引きなおしされていない和解債権が含まれるか。 
3. ①には債権が存在する以上、過払い金債権が入っていないとみられる。入っていたらその口座の債権額ゼロになるだけ。
4. 金利引きなおし後、すなわち債務整理後の残高が233億円であれば、その62%の譲渡価額になるが、どのように更なる貸し倒れを見積もったか。過去実績か。
5. 新規調達額②の145億円+②の25億円=170億円はどこから捻出したか。

引きなおしされていない債権が含まれているとしたら、譲渡により債務者の任意弁済無効の抗弁権は切断されていないので、後で、減額される恐れが残る。これでは一体、いくら残高があるか不明であり、価格を外から推測しようがない。

 譲受人は証券化して、それとも外部資金で調達したのでしょうか。そんなファンドをつける先があるとして、利回り10%未満ではありえないでしょう。また外部資金だとしたら、価額の確率的妥当性をどのように証明できたでしょうか。したがって内部での貸付と考える他ないでしょう。

回収の銀行口座は、買い手になっているとみられる。
武富士を経由していないようですから、完全に帰属を移したのか。
25億円の預託金は、何のために必要となった運転資金でしょうか。回収事務(委託)費用でしょうか。
しかしながら、武富士のATMで返済したときの譲渡に関する通知文には、武富士に委託されたとある。

譲渡のカット日が10月末営業日で、その期日を計算日として、残高通知されている。
12月14日が債権譲渡契約の成立の譲渡日だとすれば、カット日で残高を計算したとすれば、和解成立前の金額、引きなおし計算前金額であったり、既にカット日から譲渡日の間に支払われていたり、その場合には残高も異なるとしたら、譲渡価額はどのように決定されたのか。

既に1年後に起こりうる破産処理の方法を見るようです。
破産処理であれば、資産処分するとして、かなり経済的に見合う取引のようにみえますが。

参考

http://www.takefuji.co.jp/corp/nwrs/detail/091214.pdf


貸金業法24条2項の通知義務は強行法規でないのか [債権譲渡]

貸金業法24条2項の通知義務は強行法規でないのか

利息制限法の適用を受ける金融機関が貸金業法の適用となる貸金債権を譲り受る場合に、貸金業法24条2項の17条や18条の書面不交付は許されるか。信託目的に限定されてか、通知不交付には、違法性がないとの立場を前提にした法律見解があります。ただ記事は、書面不交付の違法性には焦点をおかれておらず、争点としていない。
http://financelaw.cocolog-nifty.com/blog/2009/11/sfcg3-2-ba09.html
貸金業法の適用となる貸金債権の譲渡について、法24条2項が強行法規とはいえず、任意規定との立場から、不交付を正当と認められるか。

民法の債務者への譲渡通知は、債務者に譲渡を対抗したいかどうかで、債務者対抗を(通知がない限り、あるいは通知があるまで)あきらめれば、債務者通知は任意と考えられる。他方、貸金業法24条2項通知については、起草者や議会意思は 定かではないが、その法目的は、みなし弁済の有効性に関連してくるところで、譲渡後の請求にあたり、実際には、債権額の確認・確定作業、請求債権の 条項・条件の内容確認が必要になることに関連する。

貸金業法が実体権を変動させるものでなく、行政取締規定だとしても、もし法24条2項通知を交付すれば、その効果として、何が起こるか。
① 譲受人が金融機関であれば、請求可能な金利は利息制限法に従うことになり、15%超過金利を請求したり及び受領する権利は制限され、請求行為は禁じられる。
② 通知行為は、実体上、債権額確認行為ではなく、その合意形成過程でもない。通知があっても、債権額確認の債務承諾があったとはみなされず、債務者は抗弁権が放棄されたとはみなされず、将来において、金利引きなおし計算による 元本減額請求は放棄されていない。(譲渡前に過払い金請求権が生じている場合には、借り手にとって、貸し手に対する債務は消滅しており、債権不存在ゆえ、譲渡の対象物がなくなるので、理論上「債権」譲渡は無効になる。)

金融機関にとり、利息制限法の適用とは何を意味するか。債権譲渡を受けるにあたり、譲渡元本が、みなし弁済が有効になされたと仮定あるいは想定された元本残高であることは、譲受人によって認識されており、引きなおし計算されてはいない。金融機関は、譲渡により15%の上限金利の制約を受けた上で、みなし弁済無効の抗弁が付着したままの債権を、(抗弁がない限り)債権が存在するものとして請求することは許されることになる。いつ何時、みなし弁済無効の主張がなされるとも知れず、債権額は確定していない。利息制限法適用を受ける銀行は、引きなおししないまま、みなし弁済有効を前提とした債務の存在を前提にして、請求することが許されるか。サービサーであれば、超過金利請求は禁じられるが、引きなおし計算義務までないように解される。
法目的は不明だが、24条2項通知不交付義務が強行法規でないとしたら、その違反は、どういう場合なのかの裁判規範は定かではない。

明らかなことは24条2項通知していれば、15%を超えて請求できない。対内関係において権利を移転した上で、債務者通知しなければ、譲渡人の有する権利として債務者に請求し、譲渡人が取得し、譲渡人に帰属する金銭に対して、譲受人は、内部関係において、受益権に変質させることで、優先的参加持分で金利全額に対して優先請求できる権利を有していると考えられる。15%以上の受領権限を取得するには、 24条2項通知を不交付にしたまま、かつ譲渡者に回収委任を専管的に委ねる必要がある。

実体法上、債務者通知がなければ、債務者に対しては譲渡は対抗できず、債務者との関係で、譲渡は効力を有しない。したがって、譲受人による請求権の効力は認められない。上記記事では、貸金業法上、譲渡契約が有効に成立していても、債務者通知が交付されていなければ、債務者に対しては利息制限法を越える金利の請求をすることは許されることを前提にする。法24条2項は公序にはあたらず、強行法規ではないとの理解に基づく。通知が不交付であれば、譲渡人は利息制限法超過金利を正当に請求する契約上の権利を有するから、譲受人が債務者に譲渡を対抗できずとも、利息制限法超過金利の全部を取得する権利は確保される。貸金業法は、そうした内部関係における権利変動、パーティシペーションについて立場を明白にしておらず、記事の論者のような法律意見を主張がありえる。

24条2項通知不交付が許可されれば、金融機関に対して違法金利を事実上請求し、収受する正当な権利を与えることになる。本来、債権譲渡があれば、それを実現することは公序に反し、無効である。したがって、貸金債権については、権利関係に変動があれば、24条2項通知不交付により、保護されるべき債務者の権利が侵害されるので、譲渡がなかったとみなされる。金融機関に利息制限法を超過する金利を違法なからくりで払わされることを社会的に容認する潜脱的な仕組みが許されるか。日本振興銀行は、そうした偽装を公共政策条認められないという立場をとっており、それを防止するための規定が24条2項通知交付義務だとして強行法規と考える。したがって、日本振興銀行は貸金業法の制約から、貸金債権については、パーティぺーション的権利譲渡であり、債権それ自体の譲渡がなかったものと理解する。すなわち、譲渡はなかったのであり、債権譲渡登記の目的は、表示は何としても、内部当事者間でのみ有効なパーティシペーションの権利確保であり、譲渡はなかったと主張されているのではないか。
ゆえに、信託銀行と争われる振興銀行の権利が優先すると解かれることになる。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。